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2021年11月3日

嶋村チョイス!今月のKEY PERSON

氏名:Do Nguyen Nam Quanさん
会社名:TAKAKO VIETNAM CO., LTD
役職:Director

「嶋村チョイス!今月のKEY PERSON」第28回を始めます!
どうぞよろしくお願いします。それでは Quanさん、自己紹介をどうぞ!

Quanさん:1981年生まれ、今年40歳になります。出身はベトナム中部のダナンです。高校卒業後、ダナンからホーチミンに移り7カ月程日本語学校へ通いました。その後日本へ渡り、静岡の日本語学校で2年間勉強し、京都大学へ入学しました。京都大学では物理工学機械システム学を学びました。大学卒業後は日本で4年間勤務した後、2012年にベトナムに戻りました。現在はTAKAKO VIETNAMでDirectorとして管理グループのマネジメントを行っています。

(Quanさんお写真 オフィスにて撮影)

Q.Quanさんが現職TAKAKO VIETNAMと出会うまで
大学卒業後にTAKAKO VIETNAMの親会社、株式会社タカコに入社しました。タカコは油圧機器の製造、販売を行う企業で、製造、製造技術、品質保証、営業、原価企画、経営企画と、4年間で6つの部署を経験しました。4年後の2012年ベトナム帰国に伴い、TAKAKO VIETNAMへ転籍し、現在に至っています。

Q.入社してから大変だったこと、成長のきっかけになった出来事は何ですか?
タカコでは、大変だと感じたことはなかったですね。私は私費留学生だったので、学生時代はアルバイトをしながら勉強しましたので、その頃のほうが大変だった気がします。アルバイトは飲食系、家庭教師、ベトナム語教師など、数えきれないくらいたくさんやりました。
なぜ大変だと思わなかったかと考えると、恐らく理由は2つあります。一つは元々の性格でやるならやるで100点満点を目指そう、という強い思いでいたこと、もう一つはプレッシャーを感じなかったことだと思います。日本だと一つの企業で定年まで働くのが当然という考えがあるので、途中で何かトラブルでも起こしてしまったら大変だというプレッシャーがあると思うんです。でも私の場合は、4年経ったらベトナムに帰ると自分でリミットを決めていて、その間は会社とWin-Winでやらないといけないと思っていたので、一生懸命頑張って、それを認めてもらえれば何もストレスはありませんでした。また、どこの部署に行ってもちゃんと教えてくれて、面倒を見てくれる先輩がいたというのもあったと思います。

Q.現在のお仕事内容について教えてください。
TAKAKO VIETNAMへは、全くの初めてで人事課長として入り、専属で2年担当しました。
人事では、まずどんな会社にしたいか、そのためにどんな人を採用すればよいか、ベトナムではホワイトカラーとブルーカラーを分けて考える必要があるのでそれぞれに人物像を描き、戦略を立てました。ブルーカラーの採用でベトナムの悪いところは、採用してしまえばそれきり教えないというところです。安い賃金でたくさん雇って一人一人をそれ程大事にしないのが一般的です。それではいずれ限界が来てしまうと思います。当面ベトナム政府が最低賃金を引き上げ続けることを予測し、人件費を維持しながら利益を出し、さらに給与を上げていける持続性のある企業にしていくために、ブルーカラー従業員の技能向上のための教育プラン、また技能に沿った給与体系の構築を行いました。
一番難しいのは企業のカラーと合うかどうか、という点です。ベトナム人は合わなければすぐ辞めてしまいます。GoogleさんやAppleさんは創造性や探求心を最大に活かす企業ですから、勤務態度は厳し目で見ず、発想と結果があればいいということになります。でも我々は製造会社なのでそれでは上手くいきません。私がよく言うことなのですが、「ルールや規程は現在を作り、発想や創造性は将来を作る」なんです。現在を支えるのに必要な人材は9割で、あとの1割は将来を作ってくれる人材が必要という考え方です。ルールを守る勤勉な人材ばかりが集まって毎日同じことをしていたら、将来が萎んでしまいます。なので、変化や刺激を取り込むためにも創造的な人材も必要になります。採用にあたっては部署ごとにバランスを考え、どんな人材が必要なのかをはっきりとイメージして探すという採用を行っています。
採用して入社してからのフォローも大切で、入社してからフォローしないと会社と合わなくなることが起こります。我々は配属先の部門長にも、こういう人材が欲しいからこの人が合うと思ったとその思いを共有して、全員にではないですが、メンターを付けて相談できるようにしたり、各部門でフォローしていく体制を作っています。
人事は今も見てますが、昨年からDirectorになり、現在は管理グループ全体を見ています。管理グループには「モノづくり道場」、IT推進、原価管理、営業、人事総務があります。人数的には30数名ほどになります。原価管理では経営の立場から、発生費用の積上げだけではなくお客様が受け入れしてくれる売価から目指すべき原価を企画・管理しています。その他には日本本社との連絡窓口をやってます。

Q.最近の御社ビジネスでの面白い話、業界最新トピック ※この道のプロとして紹介させてください!
人海戦術の時代は終わり、今は自動化、デジタル化の時代ですので、中期経営計画として製造自動化システムを自社で開発する取り組みを行っています。日本本社でもできないことをベトナムで行うことを目指します。例えば、優秀な大学生を何名かヘッドハンティングして、一緒にシステム自動化を進めてきました。そして、自動化によって吸い上げた情報をIoTプラットフォームに落とし込んで情報の一元化を進めています。その他ではERPの導入や、自社でソフト開発を行うための要員を採用して自社ソフトを作ったりしました。直近では資産棚卸し用のソフトを作り、資産チェックにかかる手間をICチップの一瞬の読み込みで済むよう自動化を行いました。

(2020年幹部合宿での一枚 皆さん楽しそうです☆)

Q.Quanさんの今後の目標(夢)を教えてください。
私は向上心はなく、常に平常心でいたいと思っています。上を目指すより、価値観を共有できて互いに刺激を与えられる仲間を求めます。自分の考えが尊重されて、間違っている時は遠慮なく言ってくれて、勉強させてくれる同僚がいる環境に満足してしまいます。一つ夢と言えば、自律提案型人材のベトナム人スタッフの人口を増やしたいものです。トップダウンとボトムアップが融合できる環境が発展のもとだと思います。今後も一緒に考え、一緒にやっていける仲間と巡り会えたら嬉しいです。

Q.コロナを乗り越えた御社でのコロナ対策について教えてください。
常に3歩前くらい先を読むことを行ってます。今後の世の中がどう変化する、それに対して我々はどんな行動をとる、その行動でどういう結果が期待される、という3歩です。国の通達が出てから動くのでは遅いので、感染の流行が始まる前にいくつかのシナリオを考えて、具体策を練っていました。例えば、ロックダウンになる前に先を想定して、工場内に宿泊できるよう具体的な案を練っていました。ホーチミン市が7月13日くらいから宿泊操業を決めましたが、我々は7月頭には宿泊操業を仮定して、工場内に宿泊可能人数を確認して、最低限工場を回すための要員配置をチェックして、全員の勤務シフトを組んでいました。事前準備をして備えていたのですが、驚いたことに宿泊操業直前に工場に陽性者が1名出てしまいました。この時は参りましたが(笑)、すぐに従業員全員にPCR検査を受けさせ、陽性者1名を隔離して、本来2週間操業停止のところ、5日間操業停止した後、保健所の許可を得て6日目から操業を再開することができました。陽性者が1名で済んだこと、また事前準備のお蔭で混乱もなくスムーズに対応できました。
私が重視している3つのことは、従業員の健康を守ること、コンプライアンスを確保すること、生産活動を確保することです。コロナだからというのではなく、日頃から従業員の健康を守ることを考えていれば、自ずと対策に繋がるのだと思います。

Q.ベトナム人から見た日本人の印象とはどんなものでしょう?
私は日本に長く住んでいましたので日本人との関わりが深く、純粋なベトナム人の意見とは少し違うかもしれませんが、いい人ばかりという印象です。人が好過ぎて今後世界で勝ち続けるかと考えると厳しいところがあると思います。また、日本は長らく世界2位の経済大国として平和に過ごしてきたせいか、変化に弱いとも感じます。今回のコロナでもそれが見えました。私は日本が好きで留学して、青春時代を日本で過ごしましたので、日本にしかない良いところ、例えばこだわりや思いやり、おもてなし、わびさびなどは持ち続けて欲しいと思います。その上で変化にもう少し強くなるなど、変えないといけない部分があると思っています。変える部分と残す部分をしっかり区別して変化していければ増々良くなるのではと思います。

Q.ベトナム/ベトナム人をもっと知るため、日本人へのアドバイスをいただけますか?
アドバイスと言う程ではないですが、これまでの歴史を考えても、ある意味ベトナムにとって日本は運命的な存在であると思っています。ベトナムと日本は文化的にも似ていますし、感情的に似ているところが多いですね。運命の二人(2つの国)とも言えると思います。
なので仕事で3~4年ベトナムに来て、その間だけの関係で終わってしまうのはもったいないんじゃないかと思います。これからも間違いなく近寄る二人(2つの国)だと思いますので。ベトナムが日本を見習わなければならないことの方が多いですが、ベトナム語をもっと勉強しよう、というのではなく、ベトナムを良くするために、将来の友達を良くするためにこういうことを教えよう、という気持ちになれば、自然に相手をもっと知ろう、理解しようという気持ちに向いていくのではと思います。
私は今、中国語を勉強しています。何故ならこの先中国を外しては世界は成り立たないと考えるからです。良くも悪くも中国は運命的な相手であると思うので、先に相手のことを知るために勉強しておこうという思いがあります。これはあくまで私個人の考えですが、参考になればと思います。

(2021年会社方針発表会での集合写真)

Quanさん取材ご協力いただき、ありがとうございました!

【インタビュアー】
パートナー兼ハノイ支店代表 嶋村 拓史(しまむら・たくじ)
連絡先:(Tel) 090-1828-660 (Mail) takuji.shimamura@hrnavi.com
コメント:ベトナムで人材採用のお手伝いをしております!人材の件でご相談ございましたらいつでもお問い合わせください。

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