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2017年11月15日

輝く日本人
Vol 5::Daisei VEHO Works 和島さん

氏名:和島 祐生さん
会社名:Daisei VEHO Works Co,.Ltd
役職:代表取締役


嶋村:本日はよろしくお願いします。では自己紹介をお願いします。

和島さん:Daisei VEHO Works Co,.Ltdの代表を務めております、和島と申します。今年で30歳になります。『広報支援サービスVIETNAM PRESS』、毎年12月に開催される『日in越 EKIDEN 』(※今年は12月17日(日)に開催予定)、シェアハウス『VEHO HOUSE』、現在は主にこちらのサービスを運営しています。

ベトナムでは有名人の和島さん。
オフィス前のタイ湖の前で、素敵な笑顔です。

嶋村:ベトナムにはいつ来られましたか?そのきっかけも教えてください。

和島さん:3年前ですね。大学卒業後は大手コンサルティング会社に勤務していたのですが、自分の生き方に疑問を感じて退職しました。その後、海外でワーキングホリデーやヨーロッパ周遊をしている内に、医療観光の新規事業マネージャーとして声がかかり、2014年に渡越しました。それから個人事業として数年仕事をして、約2年前に『広報支援サービスVIETNAM PRESS』を立ち上げました。当初ベトナム人の協力を得て現地企業としてスタートしてきましたが、この度、日本のパートナー企業から支援を受けれたこともきっかけとなり2017年5月にやっと法人として登記できました。

こちらは和島さんが運営されているシェアハウス『VEHO HOUSE』。 現在は4名の方が入居されています。


嶋村:そうなんですね。30歳とは思えない素晴らしい経歴ですが、これまでに特別に努力してこられたことはありますか?

和島さん:あまり意識はしてないですね。HP作成やソフトウェアには興味があって、趣味として独学で学んでいたことが今になって役立っています。会社を設立した際も、請求書の書き方や、どのタイミングで料金を頂くのかという事もわからないままで始めていました。学生時代はバイト三昧で海外志向や起業したいという目標もなく、英語も得意ではありませんでした。ただ、知人に起業を勧められた事と、ちょうど「こんな仕事をやってほしい」と依頼が来た事、職場から日本への帰国を言い渡されたタイミングだったので、じゃあ今やってみようと退職、そして起業をしてみて今に至るという感じですね。おそらく、ほかの人よりも物事に挑戦しようとするハードルが低いんです。

嶋村:なるほど。和島さん自身の営業方法も教えていただきたいです。

和島さん:元々僕は“営業”をしたくないんです。事業を進める上で大切だと解っているのですが、アポを取って、クライアント様の会社に行って、面談してもらう。このような手順だと、どうしても距離が他人行儀になってしまいますよね。『VEHO HOUSE』を始めた理由のひとつでもあるのですが、“人”って一番の情報源だと思っているんですよ。例えばシェアハウス内で仲良くなった人が全く違う界隈で僕の情報を喋ってくれる。そうして僕自身の情報が広まれば、普通の”営業”を行うよりも格段に近い距離で仕事の話をする事が可能なんです。

嶋村:『VEHO HOUSE』の効果は凄いですね。ちなみにベトナム人と一緒に働く上で、これまで何か困った事はありましたか?

和島さん:ベトナムに限らず、海外では文化の違いに困ったという話をよく聞きます。でも、それだけで終わってしまうと意味が無いんです。困ったなと思ったことを、困ったまま放置しないというのはベトナムにおいては特に重要だと感じますね。ベトナム人の性格や慣習を理解し、その上でどのように接していくのが最善なのかを考える必要があるんです。

嶋村:そうですね、日本人とベトナム人がうまく仕事をやっていく上で”共生”は大事だと、私も常日頃から感じています。特に驚いた事などあれば教えてください。

和島さん:仕事をする上で、ベトナムメディアとの考え方の違いには驚きましたよ。弊社のサービスはプレスリリースと言って、企業からのニュースを受け取って、ベトナムのメディアに配信します。通常、メディアはライターを雇い記事書いてもらいそれを掲載するのですが、弊社はライター業も兼ねておこなっているので記事が独自サービスで提供できます。既に出来上がっている記事をメディアに配信し、掲載してもらうという流れです。掲載するだけで一つの記事として成り立ち、尚且つこれまで取引の無い企業の情報も取りこぼすことなく配信できる。記事が増えれば閲覧者が増え、広告収入が増える。即ち売り上げが上がるということですね。一般論ですが私たち日本人はこれら資本主義で、利益が出る事は『良い事』だと認識していますが、ベトナムのメディアには、このサービスは不要だと言われたんです。ベトナムメディアの商品の一つに“PR記事”というものがあり、500-800ドルくらい払えばどんな記事でも掲載してくれるんですよ。なので、彼ら的には「なぜ500ドルもらえるはずの記事を掲載しなきゃいけないの?」という話で、私たちが「でもそのPR記事はPR記事で受け付ければいいんじゃない?そもそもPR記事を獲得するためにはクライアントに営業しなきゃいけないでしょ?」とか、上記のように、記事数が増えれば広告収入が増えるでしょ?という説明をしても、「別に政府からお金をもらってメディアを運営しているからお金は重要じゃない」と言われたんです。不思議ですよね。でも広告主は紹介してくれって言うんですよ?笑 それで、“利益が出るかどうか”を前提とした営業をしても相手の理解がなかなか得られなかったんです。

嶋村:ほんと不思議ですね。なぜそのような考え方のギャップが生じるのですか?

和島さん:それはなぜなのかって考えてみたんですが、多分ベトナムが社会主義の国だからなんじゃないかなと思います。メディアは政府の管理下にあり、常に守られています。現在の状況から大きな変化をすることや、向上する事が必ずしも“良い事”ではなく、安定して現状を維持し続けるということの方が大事だったんですよね。なので、僕がいかに我々のサービスと協力してもらうことで、効率的になり、利益が出るかという話をしても通じなかったわけです。前提が違ったんです。

オフィス前はタイ湖が一望できる素敵な立地です。

目の前にはベンチと椅子が。たまにこうして外でお仕事をする日もあるそう。 手前にいらっしゃるのはインターンの大崎さん。現在なんとまだ19歳です!

嶋村:和島さんはこういった経験を基にベトナム人との考え方の違いを知ったのですね。しかし、どのようにして解決されてきたのですか?

和島さん:問題に行き詰まった時には、なんでだろうなーとまずはその問題の前提ってどうだったっけ?と考えてみます。そうすると、お互いの前提が違うという事に気付かされます。前提が違ったので、「利益が増える」っていう絶対正義みたいな勝手な考えを押し付けないで、まず彼らとの出発点の共通項を探しました。我々はどちらもベトナムに住んでいるという事。外国の企業が増えているし、それは無視し続けられないだろうという事。そしてベトナムを良くするために活動しているという事。そういった確実な前提を積み上げて、お互い理解したよね?というところで、「私達のサービスは同じベトナムに住むものとして、ベトナムを良くするためのサービスなんだよ」と話します。企業が新しく提供した国内向けのサービスや製品、それをベトナムのメディア取り上げてくれることで、ベトナム中の人達がそれを知ることができるし、私たちはそういった商品やサービスをベトナムの生活が良くなることを目的に作っているよ。と。なので、お互い協力していきたいと思ってるんだけど、どう?という感じで話します。

嶋村:別の視点からアプローチをすれば、同じサービスの内容でも、理解の度合いが変わりますもんね。あまりこういった考えは日本人には少ないかもしれませんね。違う視点から考えるという事の重要性に気付かされます。

和島さん:日本人の間でもよく聞く、「いつまでベトナムにいる?」や「日本に帰る予定はいつ?」という話。これってよく周りから聞かれますけど、決まった期間を答えられる人は少ないですよね。あまり決めていないとか、大体〇〇年くらい、とか。この質問についてなぜこう答える人が多いかと言うと、ベトナムでずっと過ごすか、日本に帰るかの二択しかないと思い込んでるから選べないんです。現在の私の目標としては、2週間の日本出張を年4回で合計2か月間は日本に滞在したい、だから今はそういった環境を作るためにアプローチしています。物事ってもっと多様性を持って考えていいと思うんですよね。いつ帰るのか?結婚はいつするのか?する、しない、帰る、帰らない、以外の選択肢があっていいと思ってるんです。

嶋村:本当にそういった質問はよく周りで聞きますし、実際私も聞かれますね。

和島さん:自分に正直であることが大事なんです。年に一回帰るとなんとなく満足して、まあいいかという風に感じてしまう。でも本当は年に3回か4回は帰りたい。もしそうなら、そう出来るような環境作りに向けて努力しなければなりません。

自分自身に対しても、周りの人たちに対しても、最新版の現状を感じ取ることってすごく大事なんです。例えば、好きなタイプは?と聞かれるのと、これまでで一番好きだった、愛した人はどんな人?と聞かれるのでは、後者の方が本心からの連動率が高い返答を得られると思ってるんです。前者はこれまでに何度も聞かれた経験があって、定型文で答える形になりがちですよね。社会においては必要かもしれないですけど、自分に対しては必要ないんですよ。

嶋村:先ほどお答えいただいている内容から、“人”自身の本質を重要視されているのを感じますね。御社での採用では、何か注視している点はありますか?

和島さん:やはり、なるべく自分の気持ちに正直である人を採用するようにしていますね。本心と、出てくる言葉の伝導率が高い人。「私の知らないことを何か教えて」と、面接ではよく質問するんです。返答としては「知りません」と諦めてしまうパターンや、家族構成、出身地や故郷の名産等が答えるケースが多いです。しかし、中には「K-POPが流行っている理由」を教えてくれたり、和島さんには意外と可愛いところがあります!なんてウェットに富んだ返答をくれる人なんかもいるんです。知らなかった!と驚きを与えられますね。

嶋村:すごい会話力ですね。勉強になります!!

和島さん:採用で重要視しているのは知能ではなく知性なんです。あなたの5年後のビジョンを教えて、と面接時に聞かれてもその会社に対して答えが準備できますよね。先ほどの質問では、この質問に対して相手が何を欲しているのか、それに対してどう答えるのか良いのか、瞬時に考えて答える知性が必要なんです。この質問をした後に、何故この質問をされたと思うかを聞きますね。また、質問に対して何点の答えを言えたかも聞きますよ。偉そうなことを言ってすみません(笑)

嶋村:いえ、凄く重要なことですね。弊社でのサービスでも参考にさせていただきます。 最後に和島さんの目標、そしてこれからベトナムにくる日本人に向けてメッセージをお願いします。

和島さん:ベトナムで何かを売りたいと思った時に、100%を伝えたいと思った情報量が、ベトナム人の広報スタッフに伝えた時点で大体60%、更にライターが記事に起こした時点で20%程度までが落ちてしまうと思ってるんです。でも弊社が直接伺って情報を書き起こせば、もっと高い伝達率で記事を掲載できます。また、WEBマーケティング全盛期とも言われていますがまだまだ既存のメディアも力を持っていますね。おばあちゃんやおじいちゃん世代の方からは、Facebookに載るよりも新聞に記事が掲載された方が喜んでもらえて、マーケットでの認知度も上がります。そうしてベトナムで事業が進めば、国内だけでなくアジア中に配信出来る可能性だってあるんです。アジア各国に支店を持って、すぐにクライアント様のところへも記者を向かわせる事だって出来る。そういう環境を作れるようになりたいですね。
こんな目標を言うと、凄い!と言われることもありますが、目標あるから凄いのではなく最新版の自分の目標を叶えていくことが大切だと感じてます。例えば私だったら、弟の結婚式に多くご祝儀を包みたい、なんて事も目標なんです。50歳までにこうなりたい!という思いよりも、50歳までにこうなるために今出来る目標を常に持ち続ける事が大事ですね。

嶋村:本日は本当に勉強になりました。ありがとうございました。

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インタビュアー
ハノイ支店マネジャー 嶋村 拓史(しまむら・たくじ)
E-mail: takuji.shimamura@hrnavi.com
Tel: 090 1828 660

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