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2017年7月12日

輝く日本人
Vol 1::青葉セミナー 久保社長

氏名:Kubo Yuya 久保 遊野
会社名:青葉セミナー
役職:代表取締役社長
ベトナム歴:9年

吉田:本日はよろしくお願いします!まずは簡単に自己紹介お願いします。

久保社長(以下、久保):横浜国立大学博士課程単位取得後中退、環境学修士。その後、衆議院議員の秘書をへて2008年にベトナムへ来ました。現在は学習塾や幼稚園など教育に関係する仕事を中心にそこから派生する業務に従事。

吉田:とても珍しいキャリアですね!どうしてベトナムに来られたんですか?

久保:元々、起業してみたい気持ちがありました。手持ちの限られた自己資金で開業可能で効果的に使うにはコスト面もそうですが、アジアが日本からも近く良いと考えました。その中でベトナムを選んだ理由は、当時日本人がまだ少ないこと、日本から直行便があることで選びました。

吉田:実際に来てみてどうでしたか?

久保:ベトナムに初めてきてそのまま9年になります。当初はとりあえず3カ月くらいいてみて、なんとかなりそうなら続けててみようという気持ちで来ました。その3カ月間の目標は、気候や食べ物などが自分に合うかどうか(これが一番重要!)。会社を設立することができるのかどうか。需要があるのかどうか。従業員の採用ができるかどうか。この辺りをざっくりと見て回りました。当時のハノイ日本人学校は、生徒数220人ほどで教育関係の企業もベトナム進出をするには人数が少なすぎるニッチな状況でした。当時の駐在のかたも、ニューヨークや、シンガポールなら家族で駐在するけれどもベトナムなら家族は日本において単身赴任を選択する人も多くいました。いろいろな理由があったと思いますが、子供の教育環境は、大きな要因だったと思います。家族で一緒に生活することはとても大切なことです。その手助けができればと考えました。現在では、日本人の子供たちも増え、学習塾はじめ、習い事なども増えてきており子どもたちにも選択肢が増えうれしい限りです。

吉田:長く、そして上手くベトナムでビジネスをされている久保さんに聞きたいのですが、ベトナム人と上手く働くポイントって何ですか?

久保:ベトナムでビジネスをする場合、日本での事業を海外に展開するケースが多いと思います。日本ではこうだからと同様のやり方をそのままベトナムでやってしまうと合わないこともよくあります。外国人ですので日本での常識と異なることも多いので、そこに気をつけなければいけません。私の場合は、個人でベトナムに来たので、時間や仕事の制約がなく、自由にすることができました。暇そうな日本人がいるということでベトナム人から相談を受けることも多く、お互いに同等に接する機会に恵まれましたのでベトナム人の考えを理解しやすかったと思います。

大企業で世界に展開しているところは、綿密な計画や市場調査をはじめ海外展開のノウハウを持っており、多少の障害があったとしても人材や資金面の体力もあり成功しています。もちろん失敗して撤収している会社も多く見てきました。よくある例は、ベトナムが海外初進出で、日本での成功体験をそのまま持ってくるケースです。ベトナムでの現状が合わなくても、日本ではこれで成功しているからと日本のやり方を押し付けるので、信頼関係が築きにくくなります。また、ベトナムに来る日本人は、役職付きで来ますのでベトナム人からすると意見や不満を言いにくい環境です。もともとベトナム人(特に北部の人たち)は上司のいうことに従い直接意見することが少ないです。その思っているけど表面化していない面を放置し不満の割合が多くなると人材が定着せずに辞めていきます。従業員が退職するということは理由が必ずありますので、人材が定着しない企業の場合はその原因を考えてみることが重要です。ポイントはいくつかありますが、ここでは書ききれないので割愛します。

ベトナム人を理解するために一番簡単なのは当たり前なのですがベトナム人の一般的な考えを理解することが重要です。しかし、日本から駐在という形で来られた場合なかなかそれが難しかったりします。利害関係、上司部下の関係があると本音の部分がお互いにでにくくなります。相手はこう考えているだろうという部分が双方ずれているケースも少なくありません。ですので趣味やプライベートの場で知り合ったベトナム人との交流の機会を持ってもらいたいです。最近は日本とベトナムの交流が益々増えてきており、ベトナム人から相談に乗ってほしいと言われるケースがあると思います。そんな時はチャンスですので親身に手伝ってあげましょう。

吉田:久保さんならではの経験ですね。私もベトナムに来たばかりのころは、もちろん役職もなく、いつもベトナム人に聞いてばかりいました。でもそのお陰で打ち解けることができ、お互いの考えが理解できたように思います。今後、ベトナムでどのようにベトナム人に関わり、ビジネスしていきたいですか?

久保:ベトナムはこれまで生産の中間拠点としての位置づけでベトナム国内を市場とは見ていないケースが多かったと思いますが、ここ数年で急激にベトナム市場を狙う企業が増えたように感じています。教育関係もベトナムは成長産業で、これからも需要が増えてきます。ベトナム人に対して、塾のような勉強だけでなく、教養や情操教育などの分野などを提供していきたいと思っています。またベトナムの学校では机上の教育が多く、特に自然科学の分野での感性が弱いです。例えば、生物の種類などもほとんど知らず、タコやイカの足の数すらほとんどの人が知りません。こんなに多様性のある面白い生態系がすぐ近くにありながら生かされていません。器具が必要な実験などもやっていきたいですが、身近なものでも多くのことができます。幅広く関心を持ってもらえるような事業を展開したいと考えています。

ビジネスや受験でも成功体験記みたいなものがありますね。ビジネスは様々なアプローチがあり成功するための方程式などはありません。特に勝手の異なるベトナムで他人の成功体験の話は、真似をして同様の成功になることは少なくあくまで参考程度にしかなりません。しかし、失敗体験記は役に立ちます。致命的な失敗をしなければ何とかなります。私は1年にひとつは新しい事業をしてみようとやってきました。失敗した事業もたくさんあります。それらも一つ二つの失敗の原因を解決できれば事業として成り立ったと思います。いかに失敗しないかが大事なことです。

吉田:久保さん本日は大変貴重なお話しありがとうございました!私も初心に返り、ベトナム人と関わっていきたいと思います。

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プロフィール
吉田綾華(よしだ あやか)
E-mail: ayaka.yoshida@hrnavi.com
Tel: 0968096784

1987年生まれ、石川県出身。
人の役に立ちたい!という想いから、東南アジアと人材の軸で仕事を探し、2013年からアイグローカル・リソースに入社。自らの海外就職の経験とホーチミン、ハノイの両拠点での勤務経験を生かし、お客様と登録者の懸け橋となりアドバイスを行っている。

あーちゃんのベトナムワーク&ライフ